予備試験とは?試験の仕組み・日程・合格率から司法試験との違いまで図解で解説

予備試験とは、司法試験を受けるための資格(受験資格)を得られる国家試験です。法科大学院に通わなくても、この試験に合格すれば司法試験に挑戦でき、弁護士・裁判官・検察官といった法曹への道が開けます。受験資格に制限はなく、年齢・学歴・職業を問わず誰でも受けられる一方、最終合格率は例年3〜4%台という、日本でも最難関の試験のひとつです。この記事では、予備試験の仕組み・令和8年(2026年)の日程・科目と配点・合格率・司法試験との違いまでを、図解を交えてわかりやすく整理します。

📖 本記事の監修 本記事は、司法試験・予備試験対策の専門予備校である加藤ゼミナールの指導部が監修しています。 掲載する制度・数値情報は、すべて法務省の一次資料に基づいて作成しています。
◆この記事でわかること
• 予備試験がどんな試験で、何のためにあるのか(制度の全体像)
• 受験資格・試験の流れ・令和8年(2026年)の日程
• 短答式・論文式・口述試験の科目と配点
• 合格率と難易度、司法試験との違い、法曹になる2つのルート
• 合格までに必要な勉強時間の目安
◆目次

01 予備試験とは?司法試験の受験資格を得られる国家試験

予備試験(正式名称:司法試験予備試験)は、司法試験を受けるための「受験資格」を得ることを目的とした国家試験です。合格すること自体が弁護士などの資格に直結するわけではなく、あくまで「司法試験の入口に立つ資格」を得る試験である点が、最初に押さえておきたいポイントです。

予備試験から法曹までの全体像

◆正式名称と法的根拠(司法試験法第5条)

予備試験は、司法試験法第5条に基づいて実施されています。同条は、予備試験を「法科大学院の課程を修了した者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定する」試験と位置づけています。

つまり予備試験は、「法科大学院を修了した人と同じくらいの実力があるか」を国が判定する試験であり、これに合格すると、法科大学院を修了した人と同じように司法試験の受験資格が与えられます。

◆用語メモ 法曹(ほうそう):弁護士・裁判官・検察官の三者をまとめた呼び方。「法曹三者」ともいいます。 法科大学院(ロースクール):法曹を養成するための大学院。原則2〜3年で修了します。 受験資格:その試験を受けるために満たすべき条件。司法試験には受験資格が必要で、予備試験合格はその条件のひとつです。

◆なぜ「予備」試験と呼ばれるのか(平成23年の導入経緯)

背景には、2000年代の司法制度改革があります。この改革で、法曹を養成する中心的な仕組みとして法科大学院(ロースクール)制度が創設され、司法試験を受けるにはまず法科大学院を修了することが原則とされました。

しかし、法科大学院に通うには相応の時間と費用がかかり、経済的・時間的な事情から進学が難しい人もいます。そうした人にも法曹への道を等しく開くために、もうひとつの受験資格ルートとして平成23年(2011年)に導入されたのが予備試験です。「法科大学院ルートの"予備"となるルート」という位置づけから、予備試験と呼ばれています。

現在では、後述するように予備試験を経て司法試験に合格する人の割合が高く、「最短で法曹をめざせるルート」としても広く知られるようになっています。

02 受験資格は不要 ― 学歴・年齢・国籍を問わず誰でも受験できる

予備試験の大きな特徴は、受験資格に一切の制限がないことです。年齢・学歴・職業・国籍を問わず、誰でも受験できます。大学生や社会人はもちろん、高校生が受験することもできます。

「受験資格がない」とは、具体的には次のようなことを意味します。

• 学歴の条件がない:大学を卒業していなくても、法学部でなくても受験できます。

• 年齢の制限がない:下限も上限もなく、高校生でも、定年後の世代でも受験できます。 • 職業や国籍を問わない:働きながらでも、日本国籍でなくても受験できます。

これは、もうひとつの司法試験受験ルートである法科大学院への進学が、原則として大学卒業(またはそれと同等の資格)を前提とするのとは対照的です。「まず誰でも挑戦できる」という点で、予備試験は法曹への門戸を大きく広げているといえます。実際に、大学在学中の学生や、働きながら学ぶ社会人の合格者が毎年生まれています。

ただし、受験資格が不要であることと、合格が容易であることは別の話です。実際には、幅広い年齢・職業の受験者がいる一方で、最終合格に至るのはごく一部です。合格者の年齢・職業の内訳は、後述の「難易度と合格率」で詳しく見ていきます。

03 試験の流れと日程 ― 短答・論文・口述の3段階【2026年(令和8年)】

予備試験は、短答式試験 → 論文式試験 → 口述試験という3つの段階に分かれています。試験は年1回実施され、前の段階に合格した人だけが次の段階に進めます。3つすべてに合格して、はじめて予備試験の最終合格となります。

① 短答式試験(7月):マークシート方式。すべての受験者が最初に受ける関門です。

② 論文式試験(9月):短答式の合格者だけが受験します。答案を文章で書く筆記試験です(令和8年(2026年)からは、手書きに代わりパソコンに入力するCBT方式へと変わります。)。 ③ 口述試験(翌1月):論文式の合格者だけが受験します。試験官との口頭でのやり取りで実力を判定します。

◆令和8年(2026年)の試験日程

令和8年(2026年)の予備試験は、次の日程で実施されます(出典:法務省・令和8年司法試験予備試験に関するQ&A)。

段階 試験日 合格発表
短答式試験 令和8年(2026年)7月19日(日) 令和8年8月6日(木)午後5時ごろ
論文式試験 令和8年(2026年)9月12日(土)・13日(日) 令和8年12月17日(木)午後4時ごろ
口述試験 令和9年(2027年)1月23日(土)・24日(日) 令和9年2月4日(木)午後4時ごろ

出願の受付期間は、電子出願が令和8年2月16日(月)〜3月13日(金)、書面(郵送)出願が令和8年3月2日(月)〜3月13日(金)(消印有効)です。受験手数料は電子出願20,000円、書面出願21,000円です。

短答式試験の試験地は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡の各周辺に設けられます。論文式試験は、令和8年(2026年)からのCBT方式導入にともない、原則として各都道府県に1か所以上の会場が設けられる予定で、短答式より会場数は増えます。口述試験は、東京都およびその周辺で実施されます。最新の試験地は、出願前に法務省の実施要項で確認しましょう。

◆出願から最終合格まで、約1年半のスケジュール感

上の表からわかるとおり、出願(2月)から最終合格の発表(翌年2月)まで、予備試験はおよそ1年がかりの長丁場です。短答式(7月)→論文式(9月)→口述(翌1月)と、季節をまたいで段階的に選抜が進むため、学習計画も「短答をいつまでに仕上げ、論文をいつから本格化させるか」という逆算で組み立てるのが基本になります。

04 2026年(令和8年)からのCBT化 ― 論文式がパソコン受験に変わる

令和8年(2026年)から、司法試験・予備試験にCBT方式(パソコンを使った受験)が導入されます。予備試験については、論文式試験がCBT方式に変わり、短答式試験は従来どおりマークシート方式のままです(司法試験は短答式・論文式の両方がCBT方式になります)。出典:法務省・司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について。

CBT方式では、これまで手書きしていた論文式の答案を、会場に用意されたパソコンに入力して作成します。答案の分量には、1ページあたり23行・1行30文字、法律基本科目・選択科目・法律実務基礎科目はいずれも各科目4ページまで、といった仕様が定められています。半角で入力した文字は自動的に全角に変換されるなど、入力にあたっての細かなルールもあります。受験生が操作に慣れられるよう、令和8年2月10日・11日にはプレテスト(体験受験)も実施されます。

◆学習を始めた方へ 論文式がパソコン入力に変わることで、答案の「書き方」だけでなく「入力の速さ・正確さ」も本番の実力に影響します。ふだんの答案練習の段階から、本番と同じ形式(パソコン入力)で書く練習を取り入れておくと安心です。加藤ゼミナールのように、本試験と同じCBT形式で演習できる環境を活用するのも一つの方法です。

05 3つの試験の科目・配点・時間割

予備試験の3段階は、それぞれ問われ方も出題科目も異なります。まずは全体像を一覧で押さえてから、各試験の中身を見ていきましょう。

図解3:予備試験3段階の試験内容一覧(令和8年試験対応)

◆短答式試験(7科目+一般教養・270点満点)

短答式試験は、マークシート方式で行われる最初の関門です。出題科目は、次の法律基本7科目と一般教養科目です。

• 法律基本科目:憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法(各30点)

• 一般教養科目(60点)

配点は法律基本7科目が各30点(合計210点)、一般教養科目が60点で、合計270点満点です。令和7年(2025年)の合格点は、270点満点中159点以上でした(出典:法務省・令和7年司法試験予備試験の結果)。おおむね6割前後の得点が合格の目安になります。

図解5:短答式・論文式の科目別配点

◆論文式試験(法律基本7科目+実務基礎+選択科目・500点満点)

論文式試験は、答案を文章で書く筆記試験です。短答式に合格した人だけが受験できます。出題科目は次のとおりで、法律基本7科目に加えて、実務を意識した科目や、自分で選ぶ選択科目が加わるのが特徴です。

• 法律基本科目:憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法

• 法律実務基礎科目:民事・刑事 • 選択科目(次の8分野から1つを選択):倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際関係法(公法系)・国際関係法(私法系)

配点は各科目50点で、合計500点満点です。令和7年(2025年)の合格点は240点以上でした(出典:法務省・令和7年司法試験予備試験の結果)。短答式が知識を問うマークシートであるのに対し、論文式は「知識を使って筋道立てて書けるか」を問う試験で、予備試験の実質的な山場とされています。

◆用語メモ 法律実務基礎科目:民事・刑事それぞれの実務(訴訟の手続や事実認定など)の基礎を問う科目。法律の知識を「実際の事件でどう使うか」が問われます。 選択科目:8つの分野から自分で1つを選んで受験する科目。将来の専門分野や得意分野を踏まえて選びます。

◆口述試験(法律実務基礎・面接方式)

口述試験は、試験官との口頭でのやり取りによって実力を判定する面接方式の試験です。出題は法律実務基礎科目(民事・刑事)から行われます。令和7年(2025年)の合格点は119点以上でした(出典:法務省・令和7年司法試験予備試験の結果)。

後述するように口述試験の合格率は非常に高く、論文式まで突破した実力があれば、多くの人が通過できる最終確認的な位置づけの試験といえます。

◆各試験の試験時間

短答式・論文式の科目ごとの試験時間は、従来おおむね次のとおりです。論文式は1科目あたりの時間が長く、じっくり答案を作成する試験であることがわかります。なお、令和8年(2026年)から論文式がパソコン受験(CBT方式)に変わります。確定した試験時間・時間割は、出願前に法務省の受験案内で必ずご確認ください(下表は従来の実施例に基づく目安です)。

試験 科目 試験時間
短答式 憲法・行政法 合わせて1時間
短答式 民法・商法・民事訴訟法 合わせて1時間30分
短答式 刑法・刑事訴訟法 合わせて1時間
短答式 一般教養科目 1時間30分
論文式 憲法・行政法 合わせて2時間20分
論文式 民法・商法・民事訴訟法 合わせて3時間30分
論文式 刑法・刑事訴訟法 合わせて2時間20分
論文式 法律実務基礎科目(民事・刑事) 3時間
論文式 選択科目 1時間10分

◆合格点の推移(短答式・論文式)

短答式・論文式の合格点は年度によって多少変動しますが、短答式は270点満点中おおむね155〜170点前後、論文式は500点満点中おおむね230〜255点前後で推移しています。直近10年の推移は次のとおりです。

年度 短答式 合格点(270点満点) 論文式 合格点(500点満点)
平成28年(2016年) 165点 245点
平成29年(2017年) 160点 245点
平成30年(2018年) 160点 240点
令和元年(2019年) 162点 230点
令和2年(2020年) 156点 230点
令和3年(2021年) 162点 240点
令和4年(2022年) 159点 255点
令和5年(2023年) 168点 245点
令和6年(2024年) 165点 245点
令和7年(2025年) 159点 240点

(出典:法務省・司法試験予備試験の結果。各年度の短答式・論文式試験結果に記載された合格点)

◆学習を始めた方へ 短答式・論文式・口述は、同じ法律知識を「選ぶ・書く・話す」という異なる形で問う試験です。短答対策で覚えた知識も、論文で"使える"形に整理し直す必要があります。段階ごとに対策の質を切り替えていくことが、遠回りに見えて最短の学習になります。

06 予備試験の難易度と合格率 ― 最終合格率3.64%(令和7年)

予備試験は、日本でも最難関の国家試験のひとつとされています。令和7年(2025年)は、出願者15,764人・短答式試験の受験者12,432人に対して、最終合格者は452人でした。受験者数を分母にすると、最終的な合格割合は約3.64%となります(出典:法務省・令和7年司法試験予備試験の結果。なお法務省の発表資料は「合格率」という数値そのものは示しておらず、この3.64%、および本記事に登場する各段階の合格割合は、いずれも受験者数を分母として算出した参考値です)。

◆段階別の合格率 ― 実質の壁は短答式と論文式

予備試験の難しさは、3つの段階を順に突破しなければならない点にあります。令和7年(2025年)の各段階の状況は次のとおりです。

段階 受験者数 合格者数 合格割合(対受験者・算出値)
短答式 12,432人 2,744人 約22.1%
論文式 2,620人 457人 約17.4%
口述 457人 452人 約98.9%

(出典:法務省・令和7年司法試験予備試験の結果。合格割合は各段階の受験者数と合格者数から算出した参考値)

この表からわかるのは、口述試験はほとんどの人が通過しており、実質的な壁は短答式と論文式にあるということです。1万人以上が挑む短答式で約2割に絞られ、続く論文式でさらに約2割へと絞り込まれる。この二段階の関門をどう突破するかが、予備試験合格のカギになります。

図解4:令和7年予備試験の段階別絞り込み(出典:法務省)

◆合格率の推移 ― 制度開始以来、例年3〜4%台

予備試験は平成23年(2011年)に始まりました。制度開始以来の最終合格者数と合格割合(短答式受験者数を分母として算出)の推移は、次のとおりです。導入初年度こそ1.79%と低かったものの、その後はおおむね3〜4%台で安定して推移しています。

年度 短答式受験者数 最終合格者数 合格割合(対受験者・算出値)
平成23年(2011年) 6,477 116 約1.79%
平成24年(2012年) 7,183 219 約3.05%
平成25年(2013年) 9,224 351 約3.81%
平成26年(2014年) 10,347 356 約3.44%
平成27年(2015年) 10,334 394 約3.81%
平成28年(2016年) 10,442 405 約3.88%
平成29年(2017年) 10,743 444 約4.13%
平成30年(2018年) 11,136 433 約3.89%
令和元年(2019年) 11,780 476 約4.04%
令和2年(2020年) 10,608 442 約4.17%
令和3年(2021年) 11,717 467 約3.99%
令和4年(2022年) 13,004 472 約3.63%
令和5年(2023年) 13,372 479 約3.58%
令和6年(2024年) 12,569 449 約3.57%
令和7年(2025年) 12,432 452 約3.64%

(出典:法務省・司法試験予備試験の結果。受験者数・最終合格者数は各年度の法務省発表資料の値。合格割合は受験者数から算出した参考値)

図解6:予備試験 最終合格者数と合格割合の推移(出典:法務省)

◆段階別合格率の推移(直近5年)

短答式・論文式・口述の各段階の合格状況を直近5年でみると、いずれの年も「短答で約2割、論文で約2割、口述はほぼ全員通過」という構図が一貫しています。

年度 短答式(受験→合格・割合) 論文式(受験→合格・割合) 口述(受験→合格・割合)
令和3年 11,717→2,723(約23.2%) 2,633→479(約18.2%) 476→467(約98.1%)
令和4年 13,004→2,829(約21.8%) 2,695→481(約17.9%) 481→472(約98.1%)
令和5年 13,372→2,685(約20.1%) 2,562→487(約19.0%) 487→479(約98.4%)
令和6年 12,569→2,747(約21.9%) 2,647→462(約17.5%) 461→449(約97.4%)
令和7年 12,432→2,744(約22.1%) 2,620→457(約17.4%) 457→452(約98.9%)

(出典:法務省・司法試験予備試験の結果。受験者数・合格者数は法務省発表値、割合は算出した参考値)

◆どんな人が合格しているのか(令和7年の合格者内訳)

「受験資格が不要=誰でも受けられる」試験である一方、実際の合格者を見ると、学生から社会人まで幅広い属性の人が合格しているのが予備試験の特徴です。令和7年(2025年)の職業別の内訳は次のとおりです(出典:法務省・令和7年司法試験予備試験(参考情報))。

職業 受験者数 最終合格者数
大学生 3,601人 264人
会社員 2,840人 59人
無職(受験専念など) 2,650人 55人
公務員 1,309人 36人
法科大学院生 337人 10人
その他(自営業・教職員・塾教師・法律事務所事務員・大学院生など) 1,695人 28人
合計 12,432人 452人

最も多いのは大学生ですが、会社員・公務員として働きながら合格している人も一定数おり、無職(受験に専念する人など)からの合格者も少なくありません。「学生でなければ難しい」という思い込みは、必ずしも実態とは一致しません。

年齢面では、最終合格者は20代を中心としつつ、幅広い年齢層に分布しています。令和7年の最終合格者452人の平均年齢は28.46歳、最年少は19歳、最年長は68歳でした(出典:法務省・令和7年司法試験予備試験口述試験の結果)。20〜24歳の合格者が268人と最も多い一方、40代以上での合格者もおり、年齢を理由にあきらめる必要はないことがわかります。

最終学歴でみると、合格者は「大学在学中」(264人)と「大学卒業」(118人)で大半を占めますが、法科大学院の修了者・在学中の受験者からの合格者もいます。さまざまな経歴の人が、それぞれの状況のなかで合格をつかんでいるのが予備試験の実際の姿です。

07 予備試験と司法試験の違い

「予備試験」と「司法試験」は名前が似ているため混同されがちですが、両者は目的がまったく異なる別の試験です。ここを取り違えると制度全体の理解がぶれてしまうため、しっかり区別しておきましょう。

項目 予備試験 司法試験
目的 司法試験の受験資格を得る 法曹資格(弁護士等になる資格)を得る
位置づけ 法曹への入口に立つための試験 法曹になるための本試験
受験資格 不要(誰でも受験可) 予備試験合格 または 法科大学院修了
最終的な合格割合 例年3〜4%台 例年4割前後
実施回数 年1回 年1回

最も重要な違いは目的です。予備試験は「司法試験を受けるための資格」を得る試験であり、司法試験は「実際に法曹になる資格」を得る試験です。予備試験に合格しただけでは弁護士等にはなれず、その先の司法試験に合格して初めて法曹への道が開きます。

◆予備試験に合格した後の司法試験(5年5回ルール)

予備試験に合格すると、司法試験の受験資格が得られます。この受験資格には期限があり、予備試験の合格発表後の最初の4月1日から5年の間に、司法試験を受験できるという決まりがあります。法科大学院を修了した場合の受験資格も、同様の期間の枠組みで運用されています。かつては「5年間で3回まで」という回数制限がありましたが、平成26年(2014年)の司法試験法改正(平成26年10月1日施行)で3回の回数制限が廃止され、5年の期間内であれば毎回受験できるようになりました。司法試験は年1回実施されるため、この間に受験できるのは最大5回となります(いわゆる「5年5回」)。

08 法曹になる2つのルート ― 予備試験ルートと法科大学院ルート

弁護士・裁判官・検察官(法曹)をめざして司法試験を受けるには、受験資格を得るための2つのルートがあります。予備試験に合格する「予備試験ルート」と、法科大学院を修了する「法科大学院ルート」です。

図解2:法曹を目指す2つのルート比較

両ルートの主な違いは、所要時間・費用・その後の司法試験合格率です。予備試験ルートは、法科大学院に通う時間と学費をかけずに受験資格をめざせる一方、予備試験自体の難易度が高いという特徴があります。法科大学院ルートは、大学院で体系的に学べる一方、修了までに相応の時間と費用がかかります。

司法試験の合格率という点では、予備試験ルートを経た受験者の合格率が、法科大学院ルートを大きく上回る傾向が続いています。近年の司法試験におけるルート別の合格率は次のとおりです。

年度 予備試験ルート(受験→合格・合格率) 法科大学院ルート(受験→合格・合格率)
令和5年(2023年) 353→327人(92.63%) 3,575→1,454人(40.67%)
令和6年(2024年) 475→441人(92.84%) 3,304→1,151人(34.84%)
令和7年(2025年) 472→428人(90.68%) 3,365→1,153人(34.26%)

(出典:法務省・司法試験の結果〔法科大学院等別合格者数等〕。各年度の法務省発表資料の値)

予備試験ルートの司法試験合格率は例年9割前後で、法科大学院ルート(3〜4割程度)を大きく上回っています。これは、難関の予備試験を突破してきた層の実力が、司法試験本番にも反映された結果と考えられます。なお、上表の法科大学院ルートには「修了者」と「在学中受験者」の両方が含まれており、近年は在学中受験者の合格率が修了者を上回る傾向にあります(令和7年は在学中受験者52.66%・修了者21.91%)。

◆法科大学院在学中の受験制度でルートはどう変わったか

かつては、法科大学院ルートでは「修了後」でなければ司法試験を受けられませんでした。しかし制度改正により、一定の要件を満たせば法科大学院の在学中でも司法試験を受験できるようになりました。これにより、法科大学院ルートでも修了を待たずに早期受験が可能になり、2つのルートの「時間」の差は以前より縮まっています。

どちらのルートが優れているという話ではなく、自分の状況(学費・使える時間・学習スタイル)に照らして、どちらが合うかを判断するのが現実的です。働きながら最短で受験資格をめざしたい人には予備試験ルートが、体系的な環境で学びたい人には法科大学院ルートが向いている、というのが一つの目安になります。

09 予備試験を受けるメリット

予備試験に挑戦することには、主に次の3つのメリットがあります。いずれも、これまで見てきた制度の特徴から導かれる事実です。

1. 法科大学院に通わずに司法試験をめざせる(時間と費用の節約) 予備試験に合格すれば、法科大学院に進学しなくても司法試験の受験資格が得られます。大学院に通う2〜3年の時間と学費をかけずに法曹をめざせる点は、社会人や学生にとって大きな魅力です。働きながら学習を続けたい人にとっては、通学の必要がないことも利点になります。2. 司法試験の合格率が高い傾向にある 前述のとおり、予備試験ルートを経た受験者の司法試験合格率は、例年9割前後と高い水準で推移しています。難関の予備試験を突破する過程で、司法試験でも問われる論文の実力が鍛えられるため、本番でもその力が活きていると考えられます。3. 早い段階から法曹としてのキャリアを始められる 最短ルートで受験資格を得られるため、若いうちに、あるいは働きながらでも、法曹としてのキャリアを早くスタートできる可能性があります。学生のうちに予備試験に合格しておけば、在学中から司法試験に挑戦することもできます。

10 予備試験に挑戦する際の注意点

メリットの大きい予備試験ですが、挑戦にあたっては次のような点も理解しておく必要があります。メリットと注意点の両方を踏まえて、自分に合ったルートを判断することが大切です。

1. 合格率が非常に低く、難易度が高い これまで見てきたとおり、最終的な合格割合は例年3〜4%台です。日本でも屈指の難関試験であり、生半可な準備では合格は難しいのが実情です。2. 独学だけでは対策しにくい部分がある とくに論文式試験は、答案が合格水準に達しているかを自分だけで判断するのが難しく、第三者による添削などの外部サポートが実力向上のカギになります。3. 合格までに長い学習期間と多くの時間を要する 必要な学習時間は数千時間規模とされ、合格までに数年かかることも珍しくありません。長期間、学習のモチベーションと生活とのバランスを保ち続ける必要があります。4. 年1回・段階選抜のため、取りこぼしのリスクがある 試験は年1回で、短答式・論文式・口述のいずれかで不合格になると、その年は先へ進めません。次の挑戦は原則として翌年になります。

これらは「予備試験が向かない」という話ではなく、正しい対策と計画で乗り越えるべき壁です。難易度を正確に理解したうえで準備を始めることが、結果的に合格への近道になります。

11 予備試験に合格した後の流れ ― 司法試験から法曹まで

予備試験はゴールではなく、法曹への「入口」です。予備試験合格後、実際に弁護士・裁判官・検察官になるまでには、いくつかの段階があります。全体像を押さえておきましょう。

① 司法試験に合格する:予備試験に合格すると司法試験の受験資格が得られ、司法試験に挑戦できます。前述のとおり、予備試験ルートを経た受験者の司法試験合格率は高い傾向にあります。

② 司法修習を受ける:司法試験に合格すると、次は「司法修習」に進みます。司法修習は、法曹として実務に就くための研修で、期間はおよそ1年です。裁判所・検察庁・弁護士事務所などでの実務修習を通じて、実際の事件の扱い方を学びます。 ③ 司法修習考試(二回試験)に合格する:司法修習の最後には、「司法修習生考試」(通称「二回試験」)という修了試験があります。これに合格して、はじめて法曹となる資格が確定します。 ④ 法曹(弁護士・裁判官・検察官)になる:二回試験に合格すると、弁護士として登録したり、裁判官・検察官として任官したりする道が開けます。
◆用語メモ 司法修習:司法試験合格者が法曹になる前に受ける、約1年間の実務研修。 二回試験(司法修習生考試):司法修習の修了を判定する試験。「二回試験」は通称です。

このように、予備試験は「法曹への長い道のりの最初の関門」にあたります。だからこそ、早い段階でこのルートに乗れることには、時間の面で大きな意味があります。

12 合格までに必要な勉強時間と学習期間

予備試験の合格に必要な勉強時間は、一般に2,000〜10,000時間程度といわれます。幅が大きいのは、法律の学習経験や、1日に確保できる学習時間によって個人差が大きいためです。あくまで目安として、次のように整理できます。

• 学生の場合:おおむね2〜2年半

- 社会人の場合:おおむね3〜3年半

1日あたりの学習時間の目安は、平日と休日で使える時間が異なるため、平日は短めでも休日にまとめて確保するなど、生活に合わせた設計が現実的です。いずれにせよ、「いつまでに何を仕上げるか」を逆算した計画が合否を分けます。

◆学習スケジュールの立て方(逆算の例)

予備試験は年1回・段階選抜のため、試験日から逆算した計画づくりが重要です。合格までの学習は、おおまかに次のような流れで進みます。

入門期:法律の全体像と基礎知識をひととおりインプットする

インプット完成期:7科目の理解を、答案で使えるレベルまで引き上げる 論文演習期:過去問演習と答案添削を繰り返し、論文の得点力を高める 直前期:短答式対策の総仕上げと、弱点の補強を行う

とくに意識したいのは、山場である論文式の演習に十分な時間を確保することです。そのためには、短答式の知識固めを早めに終え、できるだけ早い段階から論文の答案練習に入れるように設計するのが有効です。社会人であれば、平日にインプット、休日に論文演習といったように、生活リズムに合わせて役割を分ける方法もあります。

図解7:合格までの標準学習期間の目安(学生/社会人別)

13 予備試験の対策のポイント(短答・論文・口述・選択科目)

予備試験は3つの段階で問われ方が異なるため、それぞれに合った対策が必要です。ここでは、各段階と選択科目の対策の考え方を整理します。

◆短答式試験の対策

短答式はマークシート方式で、法律基本7科目の知識を正確に・網羅的に問われます。条文・判例・基本的な論点を、あいまいなままにせず一つひとつ確実にしていくことが基本です。学習の中心になるのは過去問演習で、繰り返し解いて出題パターンに慣れ、間違えた箇所を知識に戻して埋めていくサイクルが効果的です。

また、短答式は7科目のうち1科目でも大きく崩れると合計点に響くため、苦手科目を作らず全体のバランスをとることが重要です。7科目に加えて一般教養科目もあり、範囲が広いぶん、どの科目にどれだけ時間を配分するかの見極めも合否を左右します。

◆論文式試験の対策

論文式は、予備試験の実質的な山場です。求められるのは、知識そのものよりも「知識を使って、問題の論点を見抜き、筋道立てて答案を書く力」です。この力は、次の2つの往復で育ちます。

インプット:条文・判例・論点の理解を、答案で使える形に整理する

アウトプット:実際に答案を書き、第三者の添削で弱点を客観的に把握して直す

答案作成には、「論点を見つける → その論点の規範(判断基準)を示す → 事案の事実を規範に当てはめて結論を導く」という一定の型があります。この型に沿って、限られた時間内で読み手に伝わる答案を書けるようになるまで、繰り返し練習することが求められます。

とくにアウトプットは独学では質を担保しにくいため、答案練習と添削のサイクルをどう確保するかが、論文対策の成否を大きく左右します。書いた答案を第三者に見てもらい、「どこがずれているか」を客観的に把握して直す——この地道な往復が、論文の得点力を押し上げます。

◆口述試験の対策

口述試験は、論文式の合格発表から本番までがおよそ1か月半と短く、短期集中の対策になります。問われるのは法律実務基礎科目(民事・刑事)で、手続の流れや基本的な考え方を、口頭で正確に答えられるレベルまで固めておくことが中心です。試験官とのやり取りの形式に慣れるため、模擬的な問答の練習を取り入れる人もいます。合格率は高い試験ですが、緊張する場面でも基礎を確実に答えられるよう、油断せず準備しておくことが大切です。

◆選択科目の選び方

論文式では、次の8つの分野から1つを選びます。それぞれ扱うテーマが異なります。

• 倒産法:破産や民事再生など、会社・個人の倒産処理に関する法分野

- 租税法:所得税・法人税など、税金に関する法分野 - 経済法:独占禁止法を中心とした、公正な競争を守るための法分野 - 知的財産法:特許・著作権など、知的財産に関する法分野 - 労働法:労働者と会社の関係(雇用・解雇・労働条件など)に関する法分野 - 環境法:環境の保全に関する法分野 - 国際関係法(公法系):国家間の関係を扱う国際公法の分野 - 国際関係法(私法系):国境をまたぐ個人・企業間の法律関係を扱う国際私法の分野

予備試験で選んだ選択科目は、その後の司法試験でも同じ枠組みで使えるため、学習量・自分の興味・将来の実務での関わりなどを踏まえて選ぶのが一般的です。受験者数が多い科目は学習教材や情報が豊富という利点があり、自分の得意分野やめざす実務との相性とあわせて検討するとよいでしょう。

◆学習を始めた方へ 予備試験対策では、「短答をいつ仕上げ、論文にどれだけ時間を回すか」という逆算の計画づくりが特に重要です。短答の知識固めを早めに終え、山場である論文の演習に十分な時間を確保できるかどうかが、合格までの距離を左右します。

14 独学で合格できるか?費用の目安

「予備試験は独学で合格できるのか」は、多くの人が気にするポイントです。結論からいえば、不可能ではないものの、独学のみでの合格は容易ではないというのが実態です。

◆独学の最大の壁は論文式

短答式試験はマークシート方式で、市販の問題集などを使って独学で対策を進めやすい面があります。一方で、独学で大きな壁になりやすいのが論文式試験です。理由は、論文式が「自分の答案が合格水準に達しているか」を自分だけでは判断しにくい試験だからです。

論文の答案は、知識の正確さだけでなく、論理の運び方・論点の拾い方・書き方の型といった要素で評価されます。これらは自己採点が難しく、第三者による答案の添削を通じて弱点を客観的に把握するプロセスが実力向上に欠かせません。独学のみで合格をつかむ人は極めて少数とされ、多くの合格者が、論文対策の部分では添削などの外部サポートを取り入れています。

◆学習費用の目安

学習にかかる費用は、学習方法によって大きく変わります。おおまかな目安は次のとおりです。

独学中心:市販のテキスト・問題集・過去問集などが中心で、数十万円程度に抑えられる場合があります。ただし論文式の答案添削や模試を別途利用すると、その分の費用が加わります。

予備校の講座を利用:入門から論文対策までを含む講座を利用する場合、おおむね80〜150万円程度が一つの目安とされます(講座の範囲やサポート内容によって幅があります)。

このほか、受験そのものにかかる受験手数料(電子出願20,000円)も必要です。費用の安さだけで選ぶのではなく、「論文対策の質をどう担保するか」まで含めて学習方法を選ぶことが、遠回りを避けるうえで重要です。独学で費用を抑えつつ、答案添削など弱点になりやすい部分だけ外部のサポートを取り入れる、という組み合わせ方もあります。

15 予備試験に関するよくある質問(FAQ)

Q. 予備試験に受験回数の制限はありますか?
A. 予備試験そのものには受験回数の制限はありません。不合格でも、翌年以降あらためて挑戦できます。
Q. 法学部の出身でなくても合格できますか?
A. できます。予備試験に学部の指定はなく、法学部以外の出身者や、大学で法律を学んでいない人の合格者もいます。
Q. 社会人でも合格できますか?
A. 可能です。働きながら学習を続けて合格する社会人受験者も一定数います。学習時間の確保と計画性が特に重要になります。
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よくある質問(続き)

Q. 何歳から受けられますか?年齢の上限はありますか?
A. 年齢制限はありません。下限も上限もなく、高校生が受験することもできます。
Q. 短答式に合格したら、翌年は短答式が免除されますか?
A. 免除されません。短答式合格の効力はその年の論文式・口述に進むためのもので、翌年には持ち越されません。翌年はあらためて短答式から受験します。
Q. 一般教養科目の対策は必要ですか?
A. 短答式には一般教養科目があり配点もありますが、出題範囲が非常に広いため、多くの受験者は法律科目を優先します。学習時間の配分の判断がポイントになります。
Q. 予備試験と法科大学院は両立できますか?
A. 予備試験を受けながら法科大学院に在学することもでき、両方を並行して準備する人もいます。ただし司法試験の受験資格の期間の扱いには細かなルールがあるため、両方の資格に関わる場合は最新の募集要項で確認してください。
Q. 合格発表はどこで確認できますか?
A. 各段階の合格発表は、法務省のウェブサイトで行われます。発表日時は年度ごとに公表されます。
Q. 予備試験の勉強はいつから始めればよいですか?
A. 決まりはありませんが、合格までに数千時間規模の学習が必要とされるため、早く始めるほど1日あたりの負担を抑えやすくなります。大切なのは開始時期そのものより、試験日から逆算した計画を立てて継続することです。
Q. 合格に有利な学部・大学はありますか?
A. 特定の学部・大学の出身でなければ合格できない、ということはありません。実際に幅広い大学・学部の出身者が合格しています。ただし、早くから法律の学習に取り組める環境は、学習を進めるうえで有利に働くことがあります。
Q. 予備試験に合格すると就職で評価されますか?
A. 予備試験は難関であるため、これを突破したこと自体が法律の実力の証として、法律事務所などで高く評価される傾向があります。
Q. 試験会場(試験地)はどこにありますか?
A. 短答式試験は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡の各周辺に会場が設けられます。論文式試験は、令和8年(2026年)からのCBT方式導入にともない、原則として各都道府県に1か所以上の会場が設けられる予定です。口述試験は、東京都およびその周辺で実施されます。
Q. 予備試験に合格した資格に有効期限はありますか?
A. あります。予備試験合格による司法試験の受験資格は、合格発表後の最初の4月1日から5年間で、その間に5回まで司法試験を受験できます(「5年5回」)。
Q. 予備試験はどのくらいの人が受験していますか?
A. 近年は、毎年およそ1万2千人前後が短答式試験を受験しています。誰でも受験できるため受験者数は多く、そのなかで最終合格に至るのは約3〜4%です。
Q. 予備試験と司法書士・行政書士などの試験は何が違いますか?
A. 予備試験は、弁護士・裁判官・検察官(法曹)をめざす司法試験の「受験資格」を得るための試験です。司法書士・行政書士は、それぞれ別の国家資格で、めざす職業や担当できる業務の範囲が異なります。
Q. 短答式・論文式・口述のうち、最も難しいのはどれですか?
A. 一般に、論文式試験が山場とされています。短答式で約2割に絞られ、論文式でさらに約2割へと絞り込まれる一方、口述試験はほとんどの受験者が通過します。合否を大きく左右するのは短答式と論文式です。
Q. 予備試験対策の模試はありますか?
A. 各予備校が予備試験向けの模試を実施しており、本番と同じ形式で実力や時間配分を確認する目的で活用されています。とくに論文式は、答案を客観的に評価してもらう機会として有効です。
Q. 予備試験の出願(願書)はどのように行いますか?
A. 出願には電子出願と書面(郵送)出願があり、法務省が定める期間内に手続きします。令和8年(2026年)は、電子出願が2月16日〜3月13日、書面出願が3月2日〜3月13日です。受験手数料は電子出願20,000円、書面出願21,000円です。
Q. 予備試験に合格すれば、必ず司法試験にも合格できますか?
A. いいえ。予備試験の合格は、あくまで司法試験の受験資格を得るものです。ただし、予備試験ルートを経た受験者の司法試験合格率は例年9割前後と高く、予備試験を突破した実力が司法試験でも活きやすいといえます。
Q. 予備試験ルートと法科大学院ルート、どちらがおすすめですか?
A. どちらが良いと一概にはいえず、自分の状況によります。時間や費用を抑えて最短で受験資格をめざしたい人には予備試験ルートが、体系的な環境でじっくり学びたい人には法科大学院ルートが向いています。それぞれの所要時間・費用・その後の司法試験合格率を比べたうえで、自分に合うほうを選ぶのがよいでしょう。

16 まとめ ― 予備試験は「最短で法曹をめざせる、誰にでも開かれた試験」

【本記事の総まとめ】 - 予備試験とは、司法試験の受験資格を得るための国家試験(司法試験法第5条) - 受験資格に制限はなく、年齢・学歴・職業を問わず誰でも挑戦できる - 試験は短答式(7月)→論文式(9月)→口述(翌1月)の3段階。令和8年(2026年)からは論文式がパソコン受験(CBT方式)に変わる - 最終的な合格割合は例年3〜4%台(令和7年は受験者比で約3.64%)と、最難関の試験のひとつ。実質的な壁は短答式と論文式にある - 法科大学院に通わずに司法試験をめざせる最短ルートとして、時間・費用の面でも注目されている

ここまで見てきたように、予備試験は「受験資格がなく誰でも挑戦できる」一方で、「短答式・論文式という2つの関門を突破しなければならない最難関の試験」という2つの顔をもっています。だからこそ、難易度を正しく理解したうえで、山場である論文式に十分な時間を割ける計画を立てられるかが、合否を分ける最大のポイントになります。令和8年(2026年)からは論文式がパソコン受験(CBT方式)に変わるため、早い段階から本番の形式を意識して準備しておくことも、これからの受験者にとって重要になります。

予備試験は難関ですが、正しい方向で努力を積み重ねれば、誰にでも道が開かれている試験です。まずは制度の全体像を正確に理解することが、合格までの第一歩になります。この記事が、その第一歩の助けになれば幸いです。

本記事の監修・加藤ゼミナールについて 本記事は、司法試験・予備試験対策の専門予備校・加藤ゼミナールの指導部が監修し、制度・数値情報はすべて法務省の一次資料に基づいて作成しています。 加藤ゼミナールは、司法試験・予備試験対策の完全オンライン予備校です。これまでに累計1,120名の司法試験合格者を輩出しており、講義・テキストに加えて、本試験と同じ形式で演習できるCBTシステムを受講生は自由に利用できます。令和8年(2026年)からの論文式CBT化にも、本番同形式の演習環境で備えられます。 予備試験の学習を具体的に検討される方は、講座案内ページをご覧ください。

【参考資料(一次情報)】

法務省・令和7年司法試験予備試験の結果

法務省・令和8年司法試験予備試験に関するQ&A(日程・出願)

法務省・司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について(CBT方式)